経営虎の巻 第89回「仕事をダイエットするための3つの視点」
多くの課題が山積する日本経済ですが、企業の経営を直撃する大きな課題として「生産性の向上」があげられます。
特に近年、過重労働による健康障害やサービス残業などに伴う問題が増加し、深刻な労働トラブルに発展する例が見られるようになっており、労働時間の短縮はすべての企業にとっての大きな関心事となっています。
しかし労働時間短縮の結果、業績までが縮小してしまっては意味がありません。
ダイエットに例えるのであれば、体重は減ったが病気になった、ではダメなのです。
企業がその仕事をスリム化する際には、業績の維持・向上を前提とし、時間短縮を進める。つまり、生産性の向上を伴った時間短縮でなければなりません。
そのために、3つの視点での取り組みが考えられます。
1つ目は、生産性向上をはかることを各社員に理解をしてもらい取り組んでもらうための「動機付け」や「意識付け」を行うことです。
例えば、社長からの強い訓示、成功社員の排出、ポスター掲示などが考えられます。
2つ目は、生産性向上や時間短縮のための「制度の構築」です。
労働時間の適切な管理、評価制度などが対象となるでしょう。
3つ目が、仕事の「進め方の改善」です。
ここでは現在の仕事の仕組みの見直しや環境整備による無駄の撲滅、仕事のマニュアル化、テンプレート化、更には各人のタイムスケジューリング能力、パソコン等のスキル向上などが必要になるでしょう。
これらの活動は、1回実施して終わり、というものではありません。
生産性向上を目的とした活動は、「一過性の生産性向上」ではなく長き期間に渡って継続する必要があります。
長時間労働が慢性化し、早く仕事を片付ける習慣がない企業や、生産性向上のために、何から実施してよいかわからないという企業は、まず早帰り日を決め、その日一日生産性を高めて早く帰ることを意識してもらうことから始めてもいいと思います。
こうした一つひとつの取り組みを日々の仕事の改善につなげることが重要なのです。