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経営虎の巻 第99回「人を育てる会社へ」

入社してしばらくはほとんど「差」がなかった新入社員にも、わずか2ヶ月でそれぞれの成長には差が生じ、これが1年、2年経つと、その差はさらに大きくなっていきます。
この成長スピードの「差」は、個々人の元来持っている「能力の差」や、仕事に対する「意識の差」の影響を大きく受けることは事実で、その意味では成長スピードに差があること自体はやむを得ないことです。

 

しかし、経営者や上司がこの「差」を「能力の差」や「意識の差」によるもので致し方がないと考え、元来持っている「能力」や「意識」にのみ頼り、充分な指導教育を行わないとなっては問題があります。

 

人材を採用するには、莫大な時間と費用が必要になります。そのような中で
採用した貴重な人材に、十分な指導・教育をせず、成果があがらないことを個人の能力の低さを原因にして、気がつくと退職してしまうというような状況に立ってなお、「うちには優秀な人材が入らない」と嘆くばかりでは、その企業の成長発展は難しいといえます。

 

今いる社員を活かし、成果があがるように指導・教育することが求められているのです。つまり、「人は育つ」という発想から、「人を育てる」という発想への転換が求められているのです。

 

それでは、どのようにすれば人を育てることができるのでしょうか。

 

そもそも人が育っている状態とはどのような状態をさすのでしょうか。
人が育っている状態とは、その人が好ましい成果(結果)を出し続けているということを指します。
では、好ましい成果(結果)を出し続けるためには何が必要なのでしょうか。
それは、好ましい成果(結果)を出すための、好ましい行動(原因)を起こすということに尽きます。

 

要するに、人を育てるということは、好ましい成果を実現するためにどのような行動をすれば良いか、ということを明らかにし、その行動を確実に実行できるように指導・教育するということに他なりません。

 

そのために必要なことは成果のあがるための「行動」を「分解」することです。
成果を出すことができないのは、どのような行動をすれば成果を出すことができるのか、が分からないからなのです。
この行動のレベルを誰もが分かるように細かく落とし込むことで、行動に移すことは容易になります。好ましい行動を行えば、必ずや良い成果は生まれるのです。

 

なかなか人が育たないと嘆く前に、成果があがる行動を細かく示し、その実現へ向けた具体的な指導を行っているか一度振り返ってみてはいかがでしょうか。