経営虎の巻 第95回「交通事故のもたらすリスクと対応」
組織を取り巻く様々なリスクの中で、注目すべきものとして「交通事故」があります。
交通事故は発生頻度が高く影響度が大きいこともあり、組織にとって交通事故の発生は、経済的な損失だけでなく、信用喪失や事業存続の危機にもつながる重大事項です。
企業を経営する上では交通事故を大きなリスクとして捉え、事故防止対策に積極的に取り組むことが必要です。
この交通事故を削減する取り組みには大きく分けて2つの考え方があります。
その一つが「自動車保険」のように、損害をカバーするという考え方、そしてもう一つがリスクをコントロールして事故の発生を削減させる考え方です。
ここからは後者のリスクコントロールを取り上げて話を進めます。
企業の一般的な交通事故削減の取り組みとしては、交通事故削減のポスター掲示や朝礼で必要性を訴えるという活動が一般的です。
しかしリスクをコントロールする場合、それだけでは不十分であるため、更に一歩進めて、交通事故削減のための仕組みの構築が必要になります。
例えば、「社内での交通事故削減活動に対する役割・責任の明確化」、「交通事故で発生するリスクの特定」、「安全管理のための指標設定」、「交通事故削減のための目標と計画策定」、そしてそれを運用するための「社員教育」、「ルールの運用」、「緊急時への準備・対応」などです。
このような取り組みが、交通事故削減には大きな成果となって現れてきます。
この交通事故削減の仕組みがISO化され、ISO39001として発行されました。
この規格は、「交通死亡事故・重症事故削減を目指すための仕組み」に関するものであり、交通事故の死者や重大な負傷者を減らすことを目的に、道路交通安全のために組織が取り組むべき項目を定めています。
またISO39001では、交通事故削減のための指針が記載されていますので、それらを参考に、自社の交通事故リスクの軽減に取り組んでみてはいかがでしょうか?