経営虎の巻 第93回「経営戦略」
AIやロボット、ビッグデータなど企業を取り巻く環境の著しい変化により、これまで実現が不可能と思われていた自動運転やコンピューターによる意思決定等が現実のものとなろうとしています。
これに伴い、産業構造が劇的に変化し、過去の成功要因が将来の成功要因とならない時代となりつつあります。
このような時代では、あるべき姿に到達するためには、現状を正しく把握し、そこに至るための道筋を決め、適切に資源を配分し、具体的な計画に落とし込み行動することが大事になります。
その計画の代表例と言えるべきものが「中期経営計画」です。
この「中期経営計画」の作成により、会社の将来像と進むべき方向性を具体的に描き、現在取り組むべきことを決めることで、社員の仕事に対する姿勢に変化をもたらすことができます。
中期経営計画では、社長の強い思いである経営理念や経営方針を定め、SWOT分析により自社の内部環境と外部環境の分析を行ったうえで、自社の現状と機会を明らかにし、ビジネス機会をできるだけ多く獲得するための戦略や計画に落とし込むことになります。
なお計画を作る場合、売上目標や利益目標という数値目標だけを計画に織り込む場合があります。
このような財務上の目標はあくまで結果目標でしかありません。財務目標だけで管理を行うと、近視眼的な取り組みばかりが重視され、中長期的な顧客との関係性や組織・人材のレベルアップは軽視される傾向にあります。
よって売上や利益といった財務目標の裏付けとして、顧客から評価されるための目標や、業務上の目標、人材育成上の目標を定め、具体的なアクションプランへ展開することが重要です。
先の見えない今だからこそ、将来のあるべき姿を鮮明に描く「中期経営計画」は、企業の将来への明確な羅針盤と言えるのではないでしょうか?