経営虎の巻 第131回「引き継ぎは”イベント”ではなく設計」
退職のたびに引継ぎが渋滞する。
3か月前に始めても解消しない―― 原因は、人に仕事を丸ごと載せ替える運用と、個人のやり方を写した日誌型マニュアルにあります。
後任は前任者の影を追うだけになり、目的や入出力が共有されず、手順だけが増えます。
このような場合、発想の転換が打開策となります。
人中心ではなく業務中心へ。
人別ノートはやめ、業務ごとに一冊のマニュアルを整備します。
目的、発生のきっかけ、成果物と保管場所、実行・確認・承認の役割、必要権限と使用システム、例外対応、完了チェック。
これらを一つの流れで記述します。
所要時間と頻度も添えて、負荷配分を勘から計画へ。
誰が読んでも同じ絵が思い浮かぶ状態づくりが重要です。
導入は段取りが肝心です。
まず全業務を言葉で棚卸しをし、目的と依存関係を整えます。
次に、人ごとに散った作業を本来の業務単位に束ね直し、属人的な裏ワザを外す。
最後に、観察 → 共同実行 → 単独実行+監査の三段階で引継ぎを運用に組み込みます。
改訂責任者と見直し周期も明確に。
文書は置物ではなく、回して育てる資産と位置づけます。
効果は実務が示すでしょう。
請求書発行、入金消込、社会保険手続などを業務単位で分割して委譲でき、負荷の一点集中を回避。
新規採用に依存しない運用が見えてきます。
引継ぎは設計で決まります。
退職は危機対応ではなく、組織の健康診断。
次の退職を待たず、今日から着手してみませんか。