経営虎の巻 第112回「再発防止を効果的に進めるには」
環境変化が激しい今、企業は品質改善、コスト削減、苦情対応など多くの問題・課題に直面しています。
これらの問題を解決するにあたり、その場限りの対処療法では問題が再発する可能性が高くなります。
問題の再発を防止するためには、「問題の原因を見つけ、その原因に対して適切な対策を講じること」が重要になります。
原因を特定し対策を打ち、再発を防止する考え方として「なぜなぜ5回」というものがあります。
「なぜなぜ5回」とは、問題の原因を深堀りして真の原因をつかむための思考法であり、トヨタの現場から生み出された手法として有名です。
「なぜ(Why)、なぜ(Why)」と繰り返して問い続けることで根本の原因にたどり着き、その根本の原因に「どうする(How)」と対策を考えることにより、対処療法ではない効果的な対策を導き出すことができるのです。
この「なぜなぜ5回」を始める場合には、事実を正しく把握し、何が問題かを明確にすることが重要になります。
そのため、問題を書き出すときにはできるだけ具体的に記入することが大切です。
例えば「納期に遅れた」とするのではなく、「納期が3月20日だったのに3月26日になった」といった具合に記入するのです。
「納期に遅れた」と問題を設定してしまうと、「やる気がなかった」等が原因として導き出されてしまいます。
しかし、問題を具体的に記入すると、「段取りを設定した取り組みができていなかった」、「顧客への働きかけが遅れ、必要な書類が期日に届かず、納期に遅れた」というように、具体的な原因を導き出すことにつながります。
このように、問題を具体的に設定し「なぜなぜ5回」を展開していきます。
「なぜなぜ5回」では、「何が欠けていたのか」あるいは「何を見落としたのか」という視点で確認をしていきます。
また、原因に関してもできるだけ主語を明確にし、具体的に表現することが大切です。
原因が明確になったところで、対策案を検討し、確定していきます。
正しく問題を設定し、原因把握、対策立案をすることで、時代の変化に負けない、強い会社を築いていきたいものです。